見た瞬間、「これ、時計?」と一瞬ためらう。なぜなら、文字盤がない。いや、正確にはスケルトン。つまり、ムーブメントの歯車や地板がそのまま顔を出している。ウブロコピーのビッグバン、411.CI.0114.RX.YOY20。さらに、このモデルは「YOYO」というアーティストとのコラボレーション。ケースからベゼル、プッシュボタンまで、すべてブラックセラミック。墨を刷いたような漆黒の中に、ところどころに施されたブルーのアクセントが、夜の深海を思わせる。
とにかく黒い。でも、黒すぎない。
セラミックの黒には艶消しと鏡面があるが、この時計は両方を使い分けている。ケースの主体はサテン仕上げで、光を吸収。ベゼルのエッジやネジのヘッドはポリッシュ。だから、角度によってキラリと光る線が浮かぶ。ブルーの針とインデックスは、黒の中でひときわ存在感を放つ。夜光はもちろん強力。スケルトンでありながら、視認性は確保されている。

YOYOって誰?
日本の現代アーティスト、YOYO。彼女の描く「宇宙」や「星」が、この時計の文字盤に投影されている。スケルトン加工の奥に見える地板の一部には、手描きで小さな星が散りばめられている。さりげなく、しかし確かに「アート」としての主張がある。所有する者の「これが欲しかった」という直感を刺激する。
ムーブメントは自社製HUB1280
自動巻き、パワーリザーブ約72時間。フライバック機能付きクロノグラフ。垂直クラッチにより、針の跳ねはほぼなし。防水は100m。シースルーバックではないが、スケルトン文字盤のおかげで裏側からも歯車の動きを楽しめる。コート・ド・ジュネーブ装飾も美しい。
誰が手に取るべきか
「時計は個性を表現するもの」と考えている人。特に、大量生産品ではなく、アーティストとのコラボレーションに価値を見出すコレクター。スーツにはあまり合わないが、革ジャンや黒いTシャツ、ストリートカジュアルに映える。値段はもちろん超高額。しかし、その分「唯一無二」の満足感がある。
実物を見てほしい。写真では伝わらない「黒の深み」と、スケルトンから覗く小さな星。YOYOの世界観が、あなたの手首で広がる。もし「普通の時計には飽きた」と思っているなら、この一本は新しい扉を開くはずだ。 |